子どもと学ぶ世界の多様性

どうして考え方がちがうの?~意見の違いから学ぶ多様性と平和な話し合い~

Tags: 多様性, 意見, 考え方, 平和教育, 話し合い

はじめに

子どもたちが小学校で日々関わり合う中で、友達と意見が合わなかったり、自分とは全く違う考え方を聞いたりする場面に遭遇することは少なくありません。なぜみんな同じではなく、それぞれの考え方を持っているのだろうか。そして、考えが違う時にはどうすればよいのだろうか。

本記事では、「考え方や意見の多様性」をテーマに、それがなぜ生まれ、子どもたちがどのように向き合い、そこから何を学べるのかを探ります。この多様性を理解し、尊重し合うことの重要性を、小学校の授業で子どもたちと共に学び、対話と共生への意識を育むためのヒントを提供いたします。

考え方の多様性とその背景

私たちは皆、異なる家庭環境で育ち、異なる経験をし、異なる情報に触れて生きています。一人ひとりが持っている個性や、大切にしている価値観も様々です。こうした違いが、物事をどう捉え、どう考え、どう感じるかに影響を与えます。

例えば、同じ絵を見ても、「きれいだ」と感じる子もいれば、「何か悲しい感じがする」と感じる子もいるでしょう。休み時間の過ごし方について、「外で元気に遊びたい」と思う子もいれば、「静かに本を読みたい」と思う子もいます。これらは、その子が過去に経験したこと、その時の気持ち、その子が持つ興味や関心によって自然に生まれる「考え方の違い」です。

このように、考え方が違うのは決して特別なことでも、悪いことでもありません。それは、一人ひとりが固有の素晴らしい世界を持っている証であり、多様な個性が集まる社会においてごく自然な状態なのです。

子どもの視点から見る意見の違い

子どもにとって、自分と違う意見や考え方に触れることは、時に大きな発見であり、学びの機会となります。一方で、自分の意見が友達に否定されたり、多数派の意見と違ったりすることに戸惑い、不安や悲しさを感じたり、時には怒りを感じたりすることもあります。

「どうして私だけそう思うんだろう?」「みんなと違うこと言ったら変かな?」といった気持ちを抱くかもしれません。子どもたちは、集団の中で認められたい、受け入れられたいという強い気持ちを持っています。だからこそ、自分の「違い」が受け入れられるかどうかに敏感です。

しかし、友達のユニークな発想に驚いたり、自分にはなかった視点に気づかされたりすることもあります。そうした経験を通して、多様な考え方があることの面白さや、自分一人では思いつかないアイデアが生まれる可能性を知ることもあります。大切なのは、こうした子どもたちの素朴な感情や経験に寄り添いながら、意見の違いに肯定的に向き合うことを学んでいくことです。

教育現場での活用アイデア

考え方の多様性をテーマにした学びは、子どもたちが互いを理解し、尊重し合い、協調していく力を育む上で非常に重要です。道徳、総合的な学習の時間、特別活動など、様々な場面で取り入れることができます。

1. 導入:身近な例で「ちがい」に気づく

2. 深掘り:なぜ考え方が違うのか?どう向き合うか?

3. アクティビティ案:多様性を体験し、表現する

まとめ

考え方の多様性は、子どもたちが自分自身を知り、他者を理解するための大切な入り口です。意見が違うことは、対立の元になることもありますが、それは同時に、新しい発見やより豊かなアイデアを生み出す源でもあります。

子どもたちが、自分と違う意見を持つ相手に対して、すぐに否定するのではなく、「そういう考え方もあるんだな」と一度立ち止まって耳を傾けることができるようになること。そして、自分の考えを大切にしつつ、他の人の考えも尊重しながら、共に歩んでいく道を探ることができるようになること。

これらの学びは、子どもたちが将来、多様な人々が共に生きる社会で、平和でより良い関係性を築いていくための確かな土台となるでしょう。日々の教育活動の中で、子どもたちが安心して自分の考えを表現し、友達の考えに触れ、多様性の中から学びを見つけられるような環境を育んでいくことが期待されます。