子どもと学ぶ世界の多様性

子どもたちと考える「ちがい」ってなんだろう?~身近な多様性から世界の平和へ~

Tags: 多様性, 平和教育, 道徳, 総合学習, 違いを尊重

なぜ今、「ちがい」を子どもたちと学ぶ必要があるのか

私たちの周りには、様々な「ちがい」があります。顔立ち、好きな食べ物、得意なこと、考え方、感じ方、家族構成、文化、話す言葉など、挙げればきりがありません。こうした違いは、時に私たちを戸惑わせたり、誤解を生んだりすることもありますが、同時に世界を豊かにし、新しい発見をもたらしてくれる源でもあります。

サイト「子どもと学ぶ世界の多様性」では、物語などを通じて、子どもたちが世界の多様性や平和について学ぶ機会を提供することを目指しています。本稿では、私たちの身近にある「ちがい」に焦点を当て、それがどのように多様性、そして世界の平和へと繋がっていくのか、子どもたちの視点から考える授業づくりのヒントをご紹介します。

「ちがい」があることは当たり前

「ちがい」と聞くと、特別なことのように感じるかもしれません。しかし、この世に全く同じ人間は一人もいません。双子であっても、育ってきた環境や経験によって、考え方や感じ方には違いが生まれます。つまり、「ちがい」があることは、人間として、また生き物として、ごく自然で当たり前のことなのです。

この「ちがい」には、目に見えるものと、心の中にあるものがあります。背が高い低い、髪の色、肌の色といった外見のちがい。そして、好きなこと、苦手なこと、考え方、感じ方、夢や希望といった内面のちがい。さらに、育ってきた家庭環境、地域の文化、国の慣習、信仰など、自分を取り巻く環境によるちがいもあります。

これらの様々な「ちがい」を認識し、「自分と違う」ということをただ否定的に捉えるのではなく、「そういう考え方もあるんだな」「自分とは違うけれど、面白いな」と受け止めることから、多様性の理解は始まります。

子どもたちの目には「ちがい」はどう映るか

子どもたちは、非常に敏感に「ちがい」を感じ取ります。友達とのけんかで意見が合わなかった時、自分だけがクラスで目立つ何かを持っていた時、他の子が自分にはない特別な能力を持っていると感じた時など、日常の中で「自分と違う」という経験に多く直面します。

こうした経験は、子どもたちの心に様々な感情を引き起こす可能性があります。「どうしてわかってくれないんだろう」という戸惑い、「自分だけが違うのかな」という不安、「あの人みたいになりたいな」という憧れ、「自分とは違うけれど、面白いな」という好奇心などです。

特に小学校という集団生活の中で、子どもたちは「みんなと同じ」であることを求められる場面に遭遇することもあります。その中で、「ちがい」を持つことが恥ずかしいと感じたり、自分の個性を抑え込んでしまったりすることもあります。しかし、それは子どもたちが生まれ持った素晴らしい可能性を狭めてしまうことにも繋がります。

子どもたちが安心して自分の「ちがい」を表現でき、友達の「ちがい」も自然に受け入れられるようになるためには、教師が意図的にその機会を作り、肯定的な関わり方を教えることが不可欠です。

教育現場での活用アイデア

子どもたちが「ちがい」を肯定的に捉え、多様性を理解するための授業アイデアをいくつか提案します。道徳、総合的な学習の時間、特別活動など、様々な場面で応用可能です。

これらの活動を通じて、子どもたちは「ちがい」があることは当たり前であり、むしろ面白いこと、新しい発見に繋がること、そしてお互いの「ちがい」を尊重することが、みんなが気持ちよく過ごせる平和な世界をつくる上でとても大切なことであるということを学びます。

まとめ

子どもたちが日常の中で触れる身近な「ちがい」は、世界の多様性を理解するための最初の入り口です。顔立ちや言葉のちがいだけでなく、考え方や感じ方、好きなもののちがいなど、目に見えない多様性にも気づかせることが重要です。

「ちがい」を恐れるのではなく、面白がったり、受け入れたり、尊重したりする姿勢は、自分自身を大切にすることにも繋がります。そして、こうした姿勢こそが、異なる背景を持つ人々が共に生きる共生社会の基盤となり、ひいては世界の平和を築く力となります。

本稿で紹介したアイデアが、先生方が子どもたちと共に「ちがい」の豊かさを学び、多様性を認め合う心を育む一助となれば幸いです。子どもたちが、自分も周りの人も、そして世界中の人々が持つ「ちがい」を肯定的に捉え、互いを尊重し合える未来を願っています。